Structural Biology

構造生物学を学ぶ

構造生物学は文字通り、タンパク質・核酸など生体分子の立体構造から生命現象を解明する学問です。立体構造を解明する方法としては、X線結晶解析・核磁気共鳴法(NMR)・電子顕微鏡法があり、この研究室では主にX線結晶解析と電子顕微鏡法を使って実験し、さらにバイオインフォマティクス(計算機)による構造予測と組み合わせて構造解析します。

X線結晶解析では分子の電子密度(動画中の緑色のネット)が求まります。この電子密度に一致するように構造モデルを組み立てます。高精度の電子密度(良い結晶)が得られると、分子構造が明確に決まるのが魅力です。

電子顕微鏡法では巨大分子の外形(動画中の白の密度マップ)が求まります。このマップに一致するように構造モデルを組み立てます。これはDNAを複製・修復する驚異的な生体ナノマシン(タンパク質)で、全体像が見えると感動します。

国際宇宙ステーションでバイオミネラリゼーションタンパク質の結晶化
X線結晶解析ではタンパク質を結晶化する必要があり、微小重力は高品質の結晶を成長させるために効果があると考えられています。この研究室では、東北大学との共同研究で、マベ(真珠)貝の真珠層形成(バイオミネラリゼーション)に関与するタンパク質PPL3A・3B・3Cの結晶化を国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟(きぼう)で実施しました。結果として高品質結晶を得て、高分解能の立体構造解析に成功しました。さらに、得られたタンパク質の構造と真珠成分の1つカルサイト(CaCO3)結晶の相互作用をドッキングシミュレーションで予測しました。(Proteins 2018)。

この研究室ではこれまで、50件程度の結晶構造・電顕構造を決定し、構造データベースPDB(Protein Data Bank)に登録しています。

教育・教科書
長浜バイオ大学では、主に「構造生物学」で構造生物学を学びます。また「生命情報科学概論」でも構造に関連したバイオインフォマティクスを学びます。
構造インフォマティクスの教科書として「タンパク質の立体構造入門 基礎から構造バイオインフォマティクスへ」(講談社、ISBN:978-06-153881-8)を共著で出版しています。