DataScience/Bioinformatics

データサイエンス・バイオインフォマティクスを学ぶ

「データサイエンス」は比較的新しいことばで、データ(数値)を統計学的に解析する学問を広く指す分野です。「バイオインフォマティクス(情報生物学)」は生命現象を数理的に解析する学問であり、データサイエンスの応用分野にあたります。いずれも現代生物学には必要不可欠の知識を内包していて、これらを活用するには計算機(コンピュータ)の利用が必須になります。この研究室では、タンパク質や医薬品のデザインを行うためのデータサイエンス/バイオインフォマティクス技術の開発と教育を行っています。

教育・教科書
長浜バイオ大学では、「生命情報科学概論」でバイオインフォマティクスの基礎を学びます。また、「コンピュータ応用実習(AI実習)」、「応用実験II(情報系)」、「情報生物学(応用・専門)実習」などでデータサイエンス・バイオインフォマティクスに必須のコンピュータの実習を行います。長浜バイオ大学HP

JSBiバイオインフォマティクス技術者認定試験
バイオインフォマティクス学会(JSBi)の活動として、バイオインフォマティクス技術者認定試験の実施と教科書の作成を行っています。この試験は誰でも受験可能で、合格すると学会から認定証が発行されるほか、いくつかの特典がありますJSBi認定試験HP。 「バイオインフォマティクス入門」(慶應義塾大学出版会, ISBN: 978-4766422511)

滋賀大学データサイエンス学部
滋賀大学データサイエンス学部・データサイエンス教育研究センターの特別招聘教授として、主にバイオインフォマティクスの講義・演習を行っています。データサイエンス学部HP

神戸大学遠隔講義
神戸大学計算科学教育センターから配信される遠隔インタラクティブ講義「計算生命科学の基礎」のコーディネーターを務めています。これは学部~大学院程度のバイオインフォマティクスや分子シミュレーションの講義です。この講義はだれでもネットで受講できます(要登録)。 神戸大学HP Youtubeサンプル講義動画

研究開発
この研究室では、これまでに以下のデータサイエンス/バイオインフォマティクスのデータベースやウェブツールを開発・公開してきました。

SIRD(Strcuture-Interaction Relational Database)
既知のタンパク質複合体立体構造を分類し、分子間相互作用を整理したデータベース。構造モデリングしたいタンパク質のアミノ酸配列や、結合する分子の情報を検索し、構造モデルを作成するためのテンプレート(鋳型)構造を探索するために使用する。このSIRDデータベースを使うと、超分子複合体(複数のタンパク質・核酸・その他の分子が集合して機能する巨大分子)の構造モデリングも可能です。IIBMP2015優秀論文賞受賞(辻 研究協力者)

SIRDによる「サブユニット付け足し」超分子モデリング。成長してゆく様子が楽しい。

DTX(Drug Target Excavator)
ヒトの様々な疾患・その疾患の原因となるタンパク質・既存のドラッグ(医薬品)・そのドラッグのターゲットの情報をネットワークとして集積したデータベース。タンパク質間相互用、遺伝子間の転写活性化・抑制の情報や、厚労省統計などから、日本における医療費や副作用報告の情報もひも付けられている。このDTXでデータベースを使うと、特定の疾患からドラッグまで、細胞内でどのような分子で繋がっているか(疾患-ドラッグパス)を検索できます。この疾患-ドラッグパスは13程度のパターンに分類することが可能であり、このパターンをさらに解析することでドラッグデザインの方法や新規のドラッグターゲットの探索に利用できると期待されます。IIBMP2010優秀発表賞(土方 特任講師)

Mutation@A Glance
このデータベースは、疾患に関連した遺伝子・タンパク質の変異の情報を集積したもので、変異をタンパク質の立体構造上にマッピングして調査することができます。土方特任講師が理化学研究所で開発したものを、この研究室で継続公開・高度化をすすめているデータベースです。

SOSUI
このアプリケーションは、タンパク質のアミノ酸配列から細胞膜貫通領域を予測するもので、辻研究協力者が名古屋大学・美宅研で開発に関わったものを、この研究室で継続公開・高度化をすすめています。